”バケットリスト”を叶える。20代女子のヨーロッパ一人旅ダイアリー【No.2/ベルギー、フランス】





フランスを代表する画家クロード・モネの言葉に、Accidents are best things in existence.  […] It’s often when things aren’t going well that we are forced into doing them differently and they suddenly become interesting.(思いがけない出来事は最高なものだ。 物事がうまくいっていないときに違う方法で進むことを余儀なくされ、それが人生を突然興味深いものにする)”というものがある。

個人的に人生の起伏が多かった2023年を経て、思いがけなくできた “空白の時間” の使い方を考えた結果、大学生の頃に作った”バケットリスト”(死ぬまでにやりたいことリスト)にあったヨーロッパ一人旅に行くことを決めた。新しい景色や人々との出会いを通して見つめ直す自分自身の幸せや、これまでの人生。私が感じた素直な思いを旅先ごとにお届け。

第2回はベルギー・ブリュッセル、フランス・パリへ。




▶”バケットリスト”を叶える。20代女子のヨーロッパ一人旅ダイアリー【No.1/ドイツ、オランダ】はこちらから

  1. 3ヵ国目:ベルギー・ブリュッセル(2日間)
  2. 4ヵ国目:フランス・パリ(5日間)
    1. レバノン人チャーリーとの思わぬ出会い
    2. モネの「睡蓮」に隠された秘密、そしてチャーリーからの手紙
    3. 独立記念日の夜はときめきを叶えるホテルで




3ヵ国目:ベルギー・ブリュッセル(2日間)


ベルギーでのハイライトはやはり、ベルギーワッフル。アムステルダムで出会ったアンジェラからおすすめしてもらったお店に行ってみた。

ワッフルの生地はサクサクで、カカオの香りが高い温かいチョコレート(ミルクでごまかした味のしない「本物」のチョコ)のかかったベルギーワッフル。

スーツを格好良く着こなしたおしゃれな白髪のおじさんも一人でお店にきて優雅にワッフルを楽しんでいるのも納得の味だった。

また、アンジェラにもう一つおすすめされたミュシュランシェフが手掛けたフライドポテト専門店。日本では未だなかなか馴染みがないが、現地では人気そうで多くの人でお店がにぎわっていた。

軽くつまめるその気軽さとおしゃれな店内、もちろん味も含め(ソースの種類にバラエティがあるのもうれしい)人気の理由が理解できる気がした。


余談にはなるが、ヨーロッパといえば観光客を主に狙ったスリの多さ。私も常にスリには警戒していた。特に一人旅なので、2人以上で写真を撮り合っている観光客を探して、彼らのグループ写真を撮ることをオファーするついでに私の写真も撮ってもらっていました(おすすめ)。


4ヵ国目:フランス・パリ(5日間)


ベルギーからパリへはバスで移動。たまたまトイレ近くの座席を割り当てられ、苦痛すぎる時間を過ごした。さらに、5時間の移動予定が、オリンピックの渋滞で最終的に6時間かかったのだ。家族にLINEでどのようにトイレからの異臭を対応するべきか相談するくらい、壮絶な6時間であったが、それに耐えた価値があると思えるくらいの新しい出会いが私を待っていた。

まず私が訪れたのがセーヌ川の目の前のカフェ。マップ上で調べてなんとなく選んだカフェが実はインスタ映えで有名なカフェだった(セーヌ川の目の前だと考えれば当然かもしれないが)。店員さんが忙しく、お店の前でどうしようかと考えていたところ、ちょうど私と同じように1人で店員からの対応を待っていた男性がレバノン人のチャーリーだった。


お互い1人で来ているなら、ということで2人で同じテーブルに座ることになった。

話を聞いていると、どうやら彼は普段アメリカのテキサスに住んでいるらしく、アメリカからレバノンに帰る途中のトランジットでパリに立ち寄ったらしい。

6時間バス移動で何も食べれていなかったのもあり、さすがフランス、やっと入れたカフェで頼んだパンオショコラが本当においしく感じた。


レバノンの公用語はアラビア語と英語だが、レバノンがフランスに植民地であったこともありり、ほとんどの人がフランス語を含めた3か国語を話せるそう。また、パリに住むレバノン人も多いらしい。チャーリーもフランス語が堪能で、カフェから自然な成り行きで私のパリでの予定に付き合ってもらえることになった。

朝からパン屋さんへ行き、エッフェル塔を眺め、ルーブル美術館では私が日付を間違って取ってしまっていたチケットの対応までしてくれた。

英語しか話せない私にとって、フランス語を話せる彼と一緒にいるだけで、私が一人でいるときとそうでないときの現地の人の対応も全然違い、たくさん助けられた。

基本的に私の行きたかった場所に付いてきてくれていたチャーリーが、絶対に行きたかった場所がオランジュリー美術館。ここではモネの傑作「睡蓮」がパノラマ展示されている。


部屋一面に大きく展示されたモネの作品は、壮大の一言ではもったいないほどの迫力があり、魅力的だった。気付いたら一時間ほど作品を眺めていた。

モネの描く「睡蓮」は、モネ自身が大切な人を亡くしてしまったその悲しみも込められているらしい。悲しみに暮れていた日々の中で、美しく描かれた睡蓮の花と対照的に、絵全体に使われている彼の色の選択がどこか哀愁を感じさせる。連作として多くの睡蓮が描かれたが、各作品に使われている色の違いやその鮮やかさが力強く彼の人生を語っているように思えた。


チャーリーと2日間行動を共にした後、別れを告げた。その際、私のカバンの中にそっと彼からの手紙が残されていた。彼の祖国レバノンは現在戦時中であり、彼の両親や実家もいつ戦争に巻き込まれるかわからない状況に胸を痛めることが多かったそう。けれど、そんな悲しみを感じる中で私に出会い、一緒に過ごした時間はモネの「睡蓮」のような鮮やかな世界を感じることができた、と書いてくれていた。

彼からの手紙の最後に「あなたのこれからの人生が鮮やかになっていくことを願っているよ」とあったが、きっと私はモネの作品を見かけるたびに彼のことを思い出すだろうし、(私が直接的にできることは少ないが)彼が鮮やかな世界を感じる日が一日でも多く増えたらいいなと思っている。チャーリー、面白い人だったなぁ。ありがとう!

私がパリに滞在していた日がちょうどフランスの独立記念日に被っていた。少し奮発し、どこを切り取ってもワクワクとかわいいが止まらない(!)お庭付きの部屋に。(旅行で奮発していいホテルに泊まるご褒美からしか得られない感情、共感してくれる人私以外にも絶対いるはず。)


夜はチャーリーに教えてもらった場所で、同じ場所に集まっていた知らない人たちと柵に上り(笑)、花火まみれになったエッフェル塔を20分程眺めていた。トイレからの悪臭と戦っていた道中から始まったパリでの滞在を通して、「一人旅」という表現より「一人で始めた旅」という表現がより正確なのではないか、とこれまで4カ国で出会った人たちのことを思い出しながら考えていた。


これまで出会った人たち皆が口を揃えて言っていたことが、「フランスは人種差別が多いから気を付けて」ということだった。チャーリーのお陰もあるかもしれないが、実際は信号待ちをしていたらタクシーの運転手さんが笑顔で道を譲ってくれたりと、私の中では良い印象が多かった。フランス語の響きはセクシーだし、旅行中に書いていた日記にも将来フランスに住みたいと書いているほど、いつの間にか私はパリの魅力に夢中になっていた。

▶”バケットリスト”を叶える。20代女子のヨーロッパ一人旅ダイアリー【No.3/スペイン】に続く

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