フランスを代表する画家クロード・モネの言葉に、Accidents are best things in existence. […] It’s often when things aren’t going well that we are forced into doing them differently and they suddenly become interesting.(思いがけない出来事は最高なものだ。 物事がうまくいっていないときに違う方法で進むことを余儀なくされ、それが人生を突然興味深いものにする)”というものがある。
個人的に人生の起伏が多かった2023年を経て、思いがけなくできた “空白の時間” の使い方を考えた結果、大学生の頃に作った”バケットリスト”(死ぬまでにやりたいことリスト)にあったヨーロッパ一人旅に行くことを決めた。新しい景色や人々との出会いを通して見つめ直す自分自身の幸せや、これまでの人生。私が感じた素直な思いを旅先ごとにお届け。
初回はドイツのデュッセルドルフとオランダのアムステルダムへ。
1カ国目:ドイツ・デュッセルドルフ(5日間)
兄が住んでいることもあり、私がまず日本から向かったのはドイツ。
といっても、デュッセルドルフという街。
ドイツで7番目に人口が多い都市で、決して観光都市ではないが、サッカーで有名である。

サッカーはスポーツであり文化
飛行機内でも、電車内でも、8割の人が携帯でサッカーを見ていて、異様な光景だった。
街に降り立った時には、どこもかしこもレストランではパブリックビューイング。住宅地の細い通りを歩いていても、歓声が聞こえるので、試合を見ていなくても、ゴールを決めたのか、決められたのか、分かるくらい。

日本でスポーツを通じて、これほどお祭り騒ぎになる光景を見たことがなく、街ゆく人々が、いかにも初対面同士で交流している姿をみると、ドイツではサッカーは大切な文化の一つなのだと感じた。
UEFA EUROの開催は4年に1回、開催地はヨーロッパ各国から選ばれる中、ドイツが選ばれた年に現地で特別な雰囲気を味わうことでき、今回の旅で幸先のいいスタートがきれた。
ドイツ料理の正体
地元の人にも人気なドイツ料理屋にも何店舗か訪れてみた。
まず、ドイツといえばソーセージ。
日本で主流のシャウエッセンは「肉汁」「食感」といった計算された上品さを感じるが、ドイツのソーセージは「肉」。ひたすら「肉」。
シャウエッセンのような小さいソーセージはそう多くみなかった気がする。

日本でいうソーセージは何か料理のサイドについているイメージだが、ドイツではソーセージがメインとして捉えられているんだろう、となんとなくだが自分の手よりも大きいソーセージを食べながら考えていた。
また、トルコ人移民が多いからか、意外にもケバブが現地で人気だった。

2カ国目:オランダ・アムステルダム(3日間)
ドイツ人大学生YOYOとの出会い
兄に別れを告げ、さあ、本格的に一人旅の始まり。
デュッセルドルフからオランダの首都アムステルダムまでの移動は、バスで3時間。

隣の席の少女の名前はYOYO。ひょんなことから話が盛り上がり、互いの生い立ちを話した。
現在、大学生で心理学を学んでいる彼女だが、春からカウンセラーとして働く。近年薬物が合法になったドイツでは、カウンセラーになるためには薬物依存者施設でのインターン経験が必要だそう。
地元の人との対話で国の社会情勢を知ったり、YOYOと一緒に彼女のiPadで映画を観たり(イヤホンもお互い片耳ずつ)と、3時間の移動時間は思ったよりもあっという間だった。
オランダ在住インドネシア人アンジェラとの出会い
アムステルダムでは一人旅をしている人同士で交流ができる「TripBFF」というアプリを使ってみた。私にとっての旅の醍醐味は「現地の人と出会うこと」。何か面白い縁があればとインストールしたアプリで出会ったのが現地在住のインドネシア人、アンジェラだった。
アンジェラはオランダ人の彼に出会い、交際半年で結婚し、オランダに移住したそう。
オランダに移住するビザを取得する必要要件に言語検定の取得があるらしく、彼女は1年でその要件をクリアしたそうだ。彼女の頭の賢さもそうだが、将来外国で生活したい私にとって彼女の行動力に刺激を受けた。

アンジェラとは現地で人気のあるカフェに行ったり(ヨーロッパでは現在抹茶ブームらしく、比較的安価で容易に手に入る日本で生活している私からしたら詐欺だと思えるほど高額の抹茶を使ったドリンクを飲んでる人の多さに驚く)、街を散歩したり、お酒を飲んだ。

アムステルダムで「Let’s go to coffe shop」(コーヒー屋さんに行こう)というスラングは「マリファナを吸いに行こう」という意味らしく、これからアムステルダムに旅行を考えている人はぜひ知っておくといいかもしれない。また、オランダは歩行者よりも自転車が優先らしい。というのも、歩行者よりも自転車に乗っている人の数のほうが多いからだそう。
アンジェラは現在マリオット系列のホテルで働いているそうで(福利厚生で世界中のマリオット系列ホテルに半額で泊まれるらしい!)、オランダではちょっとした理由でも(例えば、「ペットが嘔吐してしまい病院に連れいていく為」など)、前日の連絡で休みがとれると教えてくれた。その国の人々の働き方に対する考えを知ることも、国民性に触れることのできる一つの大きな要素である気がする。

見知らぬ土地で出会ってまだ数時間、さらに出身も母国語も違うという状況ではあったが、彼女の人柄に魅かれ、ふと自分の悩みや経験を話してみようと思った。
私が少しの間ずっと決心できず、持ち続けてきた悩みに対し、「何を私はこんなにも悩んでいたのだろう」と思わせるような白黒はっきりしすぎた彼女の考えを共有してくれた。彼女の歩んできた(いる)人生は私が思い描いている将来のビジョンと重なる部分もあり、そんな彼女からの話は私に刺さる部分があった。
旅疲れかわからないが、ワイン一杯でふらふらになってしまった私をホテルまで送り届けてくくれたアンジェラ。本物の “Trip BFF”(旅の親友)ができたみたいで嬉しい夜だった。
ヴァンゴッホと重なる私の人生@ヴァンゴッホ美術館
オランダは、かの有名なヴァンゴッホの出身地であり、アムステルダムの中心地には、彼の美術館がある。ここでは彼の生涯と作品を学ぶことができる。
「ひまわり」をはじめとする数々の名作から、彼が有名になるまでの作品など、貴重な作品を見れ、とても嬉しかった。


ただ、何よりも一番印象に残っているのは、彼の生きた人生。
ゴッホは、画家として活動する前は、就いた仕事も長続きせず、職を転々とするような決して順風満帆な人生ではなかった。が、26歳で絵を描き始め、27歳で画家になることを志すようになり、現代に名を馳せる有名な画家となった。
今の自身と同じ歳(26歳)で絵を描きはじめたということに、漠然とした不安があった自身の人生を重ね、「何を始めるにも遅すぎることはない」と言われてるような気がして勇気をもらった。
また、26歳でこの美術館に訪れることになったのも何だか導かれるべくして導かれたような気がして震え上がった。ゴッホはベルギー、パリへと旅をして、常に新たな環境に身を投じ、様々なモノ・コト・ヒトから刺激を受け、数々の大作を生み出してきた。私も彼と同じように何歳になっても常に新たな物を取り入れ、自分をブラッシュアップしていきたい。

2カ国目にして、「一人旅を決意してよかった」と、私の選択とこの一人旅に対する価値を再認識できた気がした。旅を決意するまで、またしてからも、これからの自分の人生についてどこかずっと考えていた気がする。
違う国での新しい出会いを通して、その人の人生に触れる度、私は不必要に考えすぎていたのかもしれない、と思った。いつしか私の悩みは軽くなり、これから起こるであろう新しい出会いに胸を、更に弾ませていた。

